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ところで、腎不全ってナニ?

まず、腎臓とは2つあり、体内に巡る血液から老廃物を「濾過」して尿を作る機能と、作られた尿から必要な成分や水分を「再吸収」をする機能を備えた臓器です。
その他にも血中成分のバランスを保つ役割や、ホルモン分泌、血圧コントロールといった機能も。
腎不全とは、これら腎臓の機能が低下・消失してしまう病気です。

本来、腎臓の機能が低下する原因があるはずなので、病気というより状態といった方が適切ですが、個体差や老化などで原因が特定できない場合が多くあります。
腎機能が低下すると、体内の老廃物が体外に排泄されにくくなり体内に溜まってきたり、血中成分のバランスが崩れて様々な症状が出てきます。

これがいわゆる、「慢性腎不全・慢性腎臓病」です。

慢性腎不全と慢性腎臓病・・・???

厳密に言うと、“慢性腎不全”と“慢性腎臓病”は違います。

ヒト医療と獣医療での違いもあるようですが、ヒト医療の場合には『最終ステージの末期腎臓病を慢性腎不全』と定義しており、近年では獣医療でも“慢性腎不全”のことを“慢性腎臓病”と言うようになってきています。
しかし獣医療では定義付けされている訳ではなく、一般的にはステージに関係なく“慢性腎不全”という表現が定着しているように思います。

簡単に言うと、未病状態や超初期も含めた全ての状態を“慢性腎臓病”といい、腎機能低下が進行した状態を“慢性腎不全”といいます。
ヒト医療の場合にはGFR(糸球体濾過量)検査によりステージを5段階に分類しますが、獣医療ではIRIS( 国際獣医腎臓病研究グループ)による血清クレアチニン(CRE)の値を基にした4段階のステージ分類が一般的です。
(犬猫さんにもGFR検査は出来ますが、身体への負担も若干あります。)
検査方法の違いや、なんらかの臨床症状が出てからの検査による診断が一般的ですので、獣医療ではヒト医療と同じステージ分類は難しいのかもしれませんね。

言葉を厳密に使い分けると複雑になりますので、このサイトでは一般的な名称である“慢性腎不全”という言葉を使って書いていくようにします。

慢性腎不全と診断された場合でも個体差により進行のスピードは様々で、生存期間も数カ月から数年、十数年といった違いがありますが、適切な対処をする事で長生き出来る子も少なくありません。


キーワード

・GFR(糸球体濾過量)検査
・血清クレアチニン(CRE)
・IRIS
・4段階のステージ分類

関連リンク

・IRIS 国際獣医腎臓病研究グループのホームページ(英文)



慢性腎不全の予兆と原因

予兆は?

個体差や年齢、原因にもよりますので一概には言えませんが、下記の症状が一般的です。
@・・・食欲不振
A・・・体重減少
B・・・多飲多尿

上記3つの症状は日々の生活において比較的変化に気付きやすい項目ですが、これらの症状が目に見えて分かる状態というのは、ある程度進行してしまった場合です。

この状態で血液検査をすると基準値をオーバーしていることが多く、さらにグッタリした症状や嘔吐も見られるようであれば入院での静脈点滴などの緊急処置が必要になります。
しかし、適切な処置をする事で回復して血液検査の数値が基準値内に落ち着く事も多いです。
もちろん、全ての猫さん達に上記のような症状が現れるとは限らず、多飲多尿にもならずにいきなりグッタリとする事もありますので、少しでもいつもと違うと思った時には病院へ行って検査をした方がいいですね。

原因は?

これが一番難しいですね。。。というか、特定出来ない場合も多いです。

老猫の場合は単純な老化による腎機能低下が原因の場合も多いですし、若猫の場合は単純な腎機能低下というよりも腎臓そのものの疾患が原因である事もあります。
また、直接の原因が不明の場合でも過去の病気(尿路結石や感染症等。注1)と関係している場合も多く、特定の品種で発症しやすいとも言われておりますが、猫はあまり沢山のお水を飲む動物ではありませんので、日頃の水分摂取量の少なさや食事内容、基本的な個体差等も大きく関係しています。

ただし、原因が分からない場合が多いからと言って血液検査や尿検査の結果だけで終わらさず、別の疾患が潜んでいないかも調べる必要があります。
何か原因になるような疾患が潜んでいて、それを治すことで“QOL”(クオリティー・オブ・ライフ)を向上させる事が出来るかもしれませんね。

注1:尿路結石には「尿道結石」、「尿管結石」、「膀胱結石」、「腎臓結石」があります。
   特に「尿道結石」と「尿管結石」の違いには注意が必要です。

予防は?

原因自体を特定出来ない場合も多く、出来たとしても多岐にわたるため決定的な予防法がないのが現実です。 完全な予防は無理ですが、少しでもリスクを回避することは出来るかもしれません。

・定期的な健康診断、検査をして腎臓病やその他の病気の有無を確認する。
・食事内容の見直しと、水分摂取量を増やす工夫をする。
・人間の食事をそのまま与えたり、猫に危険な食品を食べさせない。
・腎不全でもないのに腎不全療法食を与えるのはNGです。
・結石や膀胱炎などの尿路疾患にかからないように心掛ける。

食事に関しては色々な意見があり、最終的には個々の世話人(飼い主)の考え方によるところが大きいので善し悪しについて断言は出来ませんが、せめて粗悪なフードは避けた方がいいでしょうね。
経済状況や生活環境にもよりますので、あまり神経質になりすぎるのも良くないと思いますが、せめて綺麗なお水は常に用意しておく事は基本中の基本でしょうね。
サイドメニューで詳しく説明しています。

キーワード

・腎臓そのものの疾患
・特定の品種

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