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急性腎不全と慢性腎不全の違いとは?

慢性腎不全が徐々に進行する腎臓の機能低下によるものである事に対し、急性腎不全は腎臓の機能が急激に落ちて働かなくなった結果、脱水や尿毒症という症状が現れた状態です。
急性腎不全は命に関わる事も少なくありませんので、原因の特定や対応の早さがカギです。

慢性腎不全と違い、適切な処置をする事で回復する事もあれば、回復したとしても慢性腎不全に移行してしまう事もあります。
原因が特定出来なかったり間違った診断・処置をした結果、命を落とす場合もあります。
緊急性を考えると、慢性腎不全よりも急性腎不全の方がはるかに怖い状態ですので、通院のストレス等の心配をせずに、すぐ病院に行って下さいね。
急性腎不全で嘔吐などの症状が出ている場合、血液検査の結果は高値になり、この状態であれば入院による処置が必要になってくる場合がほとんどです。




急性腎不全の原因や症状、検査と対処について

別ページでも説明しましたが、腎臓の機能を簡単に説明します。

腎臓イラスト

上のイラスト(簡単でスミマセン)で分かるように、心臓から運ばれてきた血液は腎動脈を通り腎臓に入ります。
腎臓に入った血液はネフロンで濾過されます。
濾過された血液は腎静脈を通り心臓に戻り、排泄物は尿となって膀胱に溜まります。
腎臓の機能は濾過だけではありませんが、ここではこの程度の説明にしておきます。

原因

急性腎不全の原因は、腎前性・腎性・腎後性の3つに分けて考えます。

腎前性腎不全:腎臓に流れ込む血液量の減少などによるもの。
腎性腎不全 :腎臓そのものにダメージを受けたことでの障害。
腎後性腎不全:作られた尿の排泄する際のトラブルなどによるもの。

原因は多々あり、結石などによる尿路閉塞や事故、毒性物質の誤飲などが一般的でしょうが、心筋症やおもちゃの誤食などが原因の場合も多いのかな?と思います。
心筋症が原因により、循環不全の状態から腎臓に負担がかかり腎不全の状態になっている事もありますし、おもちゃの誤食により消化管が閉塞(完全閉塞に限らず)して嘔吐・脱水を起こしている事もあります。

原因が分からない急性腎不全には誤食も視野に入れて考えた方が良いかもしれません。
余談ですが、嘔吐と脱水があり血液検査の数値がある程度高い場合、「怒る元気があるので、しばらく様子を見て下さい。」と言い、皮下輸液だけで帰らす獣医さんは怖いですね〜。
病院や人に慣れていない子は怒って当然。そんな子が怒らないのは瀕死の時くらいです。

症状

原因により違いは出て来る場合もあり、症状が軽ければ元気がなくなったり食欲が低下する程度ですが、病状が進行すると下記のような症状が出てきます。

・グッタリとして動けない。
・食欲だけでなく飲水量と尿量も減る。
・脱水症状
・尿毒症による嘔吐や痙攣

検査と対処

まずは最低限の検査として血液検査と触診、体温は測ります。
基本的には静脈点滴による治療がベースになりますが、尿路閉塞の有無により最初の対処が変わってきます。
急性腎不全の状態では嘔吐や脱水といった症状が見られますので、点滴などにより水分を補給すると同時にデトックス(解毒)も行います。
しかし、結石等により尿路が閉塞して排尿が出来ない場合、まずは尿路の閉塞を解除してあげなければいけません。

本来、原因に合った処置をしなければいけませんが、原因をつきとめられない場合もありますので、命に別状のない範囲で出来るだけの検査をして原因をつきとめるようにして下さい。
血液検査だけでなく超音波検査やレントゲン(造影剤)などの検査も必要になり、腎臓以外の心臓や膀胱なども調べる必要が出て来る場合もあります。

誤食が考えられる時は、内視鏡検査と内視鏡鉗子による異物摘出という方法もありますが、内視鏡が使用出来るのは十二指腸までで、小腸や大腸では使用出来ないという欠点もあります。

その他には腹膜透析や血液透析といった処置もありますが、現実的には難しいでしょう。


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